<金口木舌> 米国は沖縄にどんな軍事基地を置いているのか


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 「米国は沖縄にどんな軍事基地を置いているのか」と聞いたら、海軍の大尉は「何もない」と答えた。驚いて聞き返すと、「沖縄に軍事基地があるのではない。沖縄そのものが軍事基地なのだ」との答えが返ってきたという

 ▼キッシンジャー米大統領補佐官の腹心として沖縄返還交渉に関わったモートン・ハルペリン氏がこのほど、1966年当時の逸話を紹介した。「米軍は沖縄全体を米国の軍事基地だと認識していた。だから基地は置きたい所に自由に置いた。沖縄の市民の心配など一切考慮することなくね」
 ▼戦後、米軍は“銃剣とブルドーザー”で住民の土地を強制的に軍事基地に変えていった。アメリカ世からヤマト世に替わった今も、強権で奪い取る基地政策の本質は変わらない。外国軍が傍若無人に振る舞う沖縄とは何なのか
 ▼しかし悲観することはない。名護市辺野古への新基地建設について、ハルペリン氏は「私は間違っていると思う。米軍はそういう基地を長年欲しがっていた。でも市民に望まれていない中で実行するのは考えられない」と述べた
 ▼ことし1月には言語学者ノーム・チョムスキー氏ら世界の知識人が辺野古移設反対の声明を発表した。沖縄の非暴力的な抵抗は、日米の為政者を除き世界で共感を広げつつある
 ▼きょうは日本復帰42年の節目。いばらの道は続くが、胸を張って歩み続けよう。