<金口木舌>平和のテーマソング


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 サッカー日本代表の顔ぶれが決まり、4年に一度開かれる祭典、ワールドカップもいよいよ本番へ向けてカウントダウンが始まった

 ▼ブラジル開催ということもあって、大会の公式テーマソングは軽快なサンバが選ばれた。曲を聴いていると、ポルトガルのロナルドらスーパースターのプレーが頭に浮かぶ。期待で胸がわくわくする
 ▼日本代表の応援歌はミスター・チルドレンの桜井和寿さんらが作った。「夢を力に」というキーワードとも相まって、こちらも聞いているだけで盛り上がる
 ▼音楽は言葉と同じくらい、時にはそれ以上に人の感情を揺り動かす。では拳を振り上げて「口で唱えるだけで平和な暮らしを守ることはできない」と語る人物には、どんなテーマソングがふさわしいか
 ▼集団的自衛権の行使容認を訴える安倍晋三首相の後ろからは、今にも軍艦マーチが聞こえてきそう。パネルを駆使した15日の会見はいかにも芝居がかっていた。国民や他国の戦争で死ぬかもしれない自衛隊が納得したとは思えない
 ▼今必要なのは力の誇示より、時間をかけてでも互いの一致点を見いだす話し合いではないか。「愛を植えましょうこの島へ」と歌ったのは桑田佳祐「平和の琉歌」。歌を忘れぬ人々をたたえ、花咲く未来を見据える。心なごむ言葉、音楽こそ必要だ。勇ましいのはスポーツの世界だけでいい。