<金口木舌>空色のランドセル


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 信号待ちをしている車から、下校する小学生のグループを見掛けた。おやっと思った。低学年の女子6人のうち、4人が水色のランドセルを背負い、2人は赤だった

 ▼この十数年、ランドセルの選択肢が多様化している。ピンク、水色、茶、紫。わくわくしながら品定めをする新1年生の姿が目に浮かぶようだ
 ▼水色のランドセルを見て、「女子は赤、ピンクが好き」「男子は黒、青」との線引きは、もはや過去のものだと再認識した。最近の子どもや子育て世代の柔軟な感覚を反映しているのだろう
 ▼これに対し、やや時代遅れに思えるのは学校の出席簿だ。県外では性別で分けない「男女混合名簿」を導入している学校が平均で小学校83%、中学校64%を占める(日教組調査)。一方、県内では小学校8%、中学校10%(県教育庁調査)。いまだ「男女別名簿」が多数派だ
 ▼男子の名前が先に呼ばれ、次が女子-。これを当然視するような刷り込みが、この時代に教育の下で行われていいのか素朴な疑問だ。残念ながら、背景説明を県内の教育関係者からほとんど聞いたことがない。学校にとって「たかが名簿」なのだろうか
 ▼いち早く男女混合名簿を導入した西原町では徐々に肯定的な成果が表れつつあると聞く。学校は「男だから」「女だから」という観念を固定化するのではなく人権感覚を研ぎ澄ます場であってほしい。