<金口木舌>「怒り」のコントロール


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 学校ではこの時期に新年度初の父母懇談会がある。筆者が出席した学校では教師の様子が少し変だった。首の辺りをしきりに気にする。首が固まったように動かず、疲労が原因と診断されたという

 ▼その教師を気遣いつつ、子育ての悩みを打ち明ける親もいた。言うことを聞かせようとして怒ってしまい、反省するとの声も聞かれた
 ▼教育現場や企業などで最近、「アンガーマネジメント」が取り入れられつつある。「怒り」を上手にコントロールし、よりよい人間関係や暮らしやすい環境をつくるという考え方だ
 ▼国内では2011年に協会ができ、沖縄支部は昨年11月に発足した。支部の正式結成としては全国で最も早い誕生だった。経営者やPTA代表ら、さまざまな立場の14人が支部の講師を務める
 ▼この心理教育プログラムでは、感情が一気にあふれ出さないよう、コップの水を扱うごとく少しずつこぼれさせていく。周囲が聞く耳を持ち、怒りや悩みの原因に気づかせることが大切で、その結果、自ら対処を工夫するようになるという
 ▼支部発足直後に県内の高校で全校生徒を対象に講話した。教育委員会や父母を対象にした講演など、教育分野での研修が増えつつあると聞く。受講で家族や仕事仲間らへの理解が深まると、相手への気持ちの伝え方も向上するはずだ。自分と周りの心の声に耳を澄ませたい。