<金口木舌>ごさまるの日


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 昨年秋、護佐丸と阿麻和利が対決した。といっても、ダンスバトルでのこと。中城護佐丸まつりで演技を競い、阿麻和利チームに軍配が上がった

 ▼「これはまだチンダミ、準備段階ですよ」と浜田京介村長は笑う。いずれはハーリーや綱引きで楽しくうるま市と現代版の勝負をしたいと夢を描く。「信長や家康は知っているのに護佐丸は知らない」と口癖のように語る村長は、子どもたちが郷土史に興味を持つ方法を探ってきた
 ▼その望みが2学期からかなえられる。村教委が独自に取り組む県内初の琉球史授業「ごさまる科」の副読本が完成した。地元の教育者や識者らが2年かけて練り上げただけあって、中城の歴史と文化を知り、好きになってほしいとの思いがあふれている
 ▼1年生はタイムスリップして護佐丸やペリー探検隊と共に中城城の歴史をたどる。4年生では地域の人たちがイラストで登場し、村の良さを語る。中でも、地元の歴史家仲村春吉さんは各学年で道案内をしてくれる身近な存在だ
 ▼うらやましいかな、中城の小学生は卒業時に6学年分と脚本集の計7冊セットを手に入れる。自分たちの足元にある宝物を確認できる心強い道具だ
 ▼きょうは530の語呂合わせで「ごさまるの日」。礎石は据えられた。地域の力を一段ずつ積み上げていって、子どもたちの心に郷土愛というグスクを築いてほしい。