<金口木舌>社会的弱者の目線で


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 子どものアレルギーに悩む保護者にとって朗報と言えそうだ。全国学校栄養士協議会が、災害時に子どもたちがアレルギーを心配せずに食べられる学校備蓄用の非常食「救給(きゅうきゅう)カレー」を開発した

▼完成にこぎつけたのは、東日本大震災がきっかけだった。協議会は、学校の備蓄向けに普及を目指している。子どもたちが大好きなカレーを、アレルギーを起こす可能性がある27品目の原材料を使わずにレトルト化した
▼本紙の調査で、県内41市町村のうち食物アレルギーに対応したミルクや食糧を備蓄している自治体は24市町村にとどまることが分かっている。いざという時に、アレルギー対応食を持って避難できない事態を招きかねない。近年、アレルギーに悩む子どもが増えていることから、備蓄を時代の要請と認識する必要があろう
▼社会的弱者に対する支援は、ほかにも課題がありそうだ。県内では、災害時に高齢者、障がい者の避難を手助けする市町村の全体計画も遅れている。策定率は58%と全国最低だ
▼3年前の東日本大震災では、多くの障がい者、高齢者が逃げ遅れて犠牲になった。高齢者施設、病院が集中する自治体、高齢者の割合が高い離島こそ、全体計画づくりを急いでほしい
▼障がい者や高齢者への支援強化は、人に優しい地域づくりに直結する。地域を挙げた知恵の見せどころだ。