<金口木舌>やんばるはひとつへの〝たすき〟


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 今年で24回を数えるやんばる駅伝が先日、伊江島で開かれた。順位が刻々と変わるレース展開は駅伝の醍醐味(だいごみ)そのものだ。懸命な選手たちには申し訳ないが、沿道の観衆が楽しむには十分だった

▼地元を代表するだけにレース後の関係者の表情は悲喜こもごもだったが、閉会式を終え懇親会の場になると雰囲気はがらりと変わった。駆け付けた首長らも加わり、地域の将来を語る姿は熱を帯び、市町村の枠を超えた親睦の輪も広がった
▼大会のテーマは「やんばるはひとつ」。北部郷友会さながらの会場は大会の意義を象徴する。関係者の連帯感の強さをうかがわせた
▼この連帯感はさまざまな場面で見られる。伸び盛りの観光分野では北部全域の33施設・団体でつくる組織があり、大自然に包まれた「やんばる路」の魅力を発信している
▼教育の場に目を向けると、名桜大の貢献ぶりが顕著だ。イベントの場や小学校での各種ボランティアもさることながら、北部12市町村対象の出前講座も充実している。健康、看護、経営、スポーツなど幅広いテーマを提案し、やんばる振興の手助けをする
▼活動をまとめるのが校内に設けたエクステンションセンターで、地域のニーズと同大の人材力の組み合わせに腐心する。暮らしやすいやんばるへ、人と人が“たすき”をつなぐような、地域力の掘り起こしに期待したい。