5年前、日本は11位だったのに、今年は59位に急落した。「報道自由度」世界ランキングのことだ。国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」が検閲や法的枠組み、透明性などの項目で180カ国・地域を採点した
▼世界トップクラスだった日本がなぜ、台湾や韓国よりも下位になったか。2013年には福島第一原発事故に関する情報公開の在り方が問われ、53位に落ちた
▼特定秘密保護法の成立で今年はさらに順位を下げた。同記者団のリポートは「調査報道、公共の利益、情報源の秘匿が全て犠牲になる」と指摘する
▼国内では「法律なんて難しいし、私には関係なさそう」といった声も聞くが、これに危機感を抱く法律家もいる。「明日の自由を守る若手弁護士の会」、通称「あすわか」だ
▼先日「あすわか」が執筆した「これでわかった!超訳 特定秘密保護法」(岩波書店)の出版パーティーが都内であった。この種の会では珍しく、おしゃれをした女性であふれ、披露宴会場のような華やかさだった
▼もともと憲法を考える会として発足した。「護憲」ではなく議論を深める「知憲」が狙いだ。真面目なテーマを親しみやすく語り、行動を起こす。「権力にとって面倒くさいヤツであり続ける」と誓うメンバー。それが次世代への責任だと話す。報道人にも自覚が求められる。自由で公正な民主主義を守るために。