<金口木舌>「草ラグビー」の風景


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 小中高校のスポーツでは地域性が出る競技も少なくない。有名どころでは浦添市のハンドボール、西原町のバレーボール。では、やんばる。特に名護市ならば文句なしでラグビーとなろう

▼先日県内を制した名護高校の活躍はもちろん、毎週末に市内の競技場で年齢を超え「草ラグビー」を楽しむ姿は、地域を挙げた人気を示す
▼定着の過程には底辺の広がりと指導者の育成があるという。「どこでもラグビーができる」環境づくりが各高校で長年図られた結果、卒業生が次は後進の指導に汗を流す-。この繰り返しが現在につながる
▼そんなラグビーのまちへ明るい話題が飛び込んだ。名桜大4年加藤あかり、久辺中3年伊礼門千紫の両女性選手の活躍だ。加藤さんは県内から初のフル代表となり、先月アジア選手権で全試合先発出場した
▼一方、伊礼門さんは2年連続で九州ユース強化選手に選ばれた。ポジションは違うものの、二人に共通するのは、名護や宜野座など各高校で男子選手に交じって練習する姿だ。移動などを考えれば恵まれた環境ではないが、大柄な相手との練習は逆に、全国や世界を狙う上で貴重なのだという
▼「地域や指導者に感謝している。オリンピックに出たい」。二人の言葉から日々の充実ぶりがうかがえる。子どもらが夢を持ち、挑戦できる環境へ、地域の知恵と工夫の広がりを望みたい。