<金口木舌> アルコールとの付き合い方


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 作家の故・開高健が手掛けたウイスキーの広告コピーが1960年代、一躍注目を集めた。「人間らしくやりたいナ」。リラックスして、ざっくばらんな会話が楽しめる酒場の雰囲気を鮮やかに浮かび上がらせた

 ▼百薬の長、会話の潤滑油と例えられるお酒は、たしなむ程度なら、生活に潤いを与える。しかし、付き合い方には注意が必要だ
 ▼厚労省が示す1日当たりの適正飲酒量は、ビールなら中瓶1本の500ミリリットル、ワインならグラス2杯弱程度。適正量以上を習慣的に飲み続けると、男性なら20~
30年、女性はその半分程度の期間で、アルコール依存症に発展する危険性があるとされる
 ▼アルコール依存症は、健康被害や離職、家庭不和、借金など複数の問題を引き起こす。数年前、取材で出会ったアルコール依存症の男性は、そううつ病を併発し、過去に自殺未遂を繰り返した。彼が抱える苦悩に依存症の深刻さを痛感した
 ▼最近では、困難な問題から逃れるために、飲酒に頼ってしまう依存の病気ともいわれている。嫌な事を忘れようと、酒に手が伸びていないだろうか。自己点検し、運動や友人との雑談、音楽鑑賞など自分なりのストレス解消法を持ちたいものだ
 ▼梅雨が明ければ、本格的な夏がやってくる。ビーチパーティーや暑気払いと、飲酒の機会が多くなる時期だからこそ、お酒との付き合い方を考えたい。