<金口木舌>夏越に振り返る


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 早いもので、1年も折り返しとなる6月を終える。充実してあっという間の半年だったか、青息吐息ようやく半分終わったと感じるかは人それぞれだろう

▼半年を振り返ると、1月は名護市長選で年が明けた。曲折はあれど地元の民意は新基地建設拒否があらためて示された。にもかかわらず、政権はじわじわと工事への準備を進め、民意を顧みない
▼政権が民意を顧みない点では、集団的自衛権の行使容認に向けた動きもそうだ。本紙に掲載された世論調査によると、「行使容認に反対する」意見は2月52・0%、5月48・1%、6月55・4%と常に賛成を上回る
▼行使に向けた憲法解釈変更は「すべきでない」が1月53・8%、3月57・7%、5月59・5%と日を追うごとに批判的な意見が増えた。国民に寄り添う政治とはいうものの、この半年の国民と政府の距離感は遠過ぎないか
▼30日は全国の神社で「夏(な)越(ごし)の大(おお)祓(はらい)」という行事が行われる。1年のちょうど半分という節目に、知らず知らずのうちに身についた汚(けが)れを払う。単におはらいをするだけでなく「自らを振り返る機会」でもあるとされる
▼首相をはじめ、政府・与党の重鎮方はこの機会に過ぎた半年を振り返ってみてはどうか。被災地に札束をちらつかせるような発言をした大臣もいた。国民に寄り添うには、どう行動すべきか見定めてもらいたい。