<金口木舌>「平和」の意味合い


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 7日の七夕にちなんで、糸満市摩文仁の平和祈念公園内に3日、ササが飾られた。子どもたちや来園者が願いを託した短冊には現状を反映してか、「自衛でも戦争はだめだ」「日本が再び戦争をする国にならないように」と具体的な危機感を表した文章が目を引く

 ▼6月23日の沖縄全戦没者追悼式で自作詩を朗読した増田健琉君は「平和をねがう心で地球はうるおえる」「思いやりの心でつうじ合える」と訴えた
 ▼昨年の式典で同様に朗読し、ことし絵本として出版された安里有生君の詩の末尾。戦争のない状況がずっと続くよう「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」という決意が胸を打つ
 ▼「平和への願いを責任ある行動に移す」。こちらは1日、集団的自衛権行使容認の閣議決定後に安倍晋三首相が述べた決意だ
 ▼首相は会見の冒頭発言で「平和」を13回も繰り返した。だが、日本が攻撃されていない戦争への参戦理由に掲げた「平和」と、戦争をしないことを願った子どもたちの「平和」では、意味合いが百八十度違う
 ▼7日は二十四節気の「小暑」。暦の上では本格的な夏の始まりだが、既に気温は連日、30度を超える。いつの間にか夏が始まったように、いつの間にか戦争を始めることを許してしまう国にならないように。子どもたちの「平和」への願いが、織り姫とひこ星に届きますように。