<金口木舌> わかりにくい避難情報


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 「10万人ぐらいの都市の住民にまるごと避難とか思わせる、ちょっと分かりづらい印象を受けましたね」。初の「特別警報」が出た台風8号の暴風雨の中、次々発表された「避難情報」。それに疑問を抱く仲井真弘多知事の言葉に、うなずいた人も多かったのではないか

 ▼今回は20市町村が避難勧告を発表した。対象者は実に県総人口の4割、59万人に上った。住民から「避難しないといけないのか」「どこに行けば」などの問い合わせが殺到した自治体もあった
 ▼災害対策基本法に基づき発表される避難情報は避難準備情報、避難勧告、避難指示の3段階ある。段階が進むとともに危難の度合いが上がり、言葉も強くなる。しかし、それぞれが指し示す意味をどれだけの人が知っているだろうか
 ▼避難勧告と避難指示には屋内にとどまるか、待機することも含まれる。地滑りの恐れのある危険箇所などに家屋がなければ、必ずしも避難が義務付けられてはいない
 ▼危険が迫っていることを知らせ、万全の備えを促し、被害を最小限にとどめることが避難情報の目的だろう。それにしては分かりづらい。避難勧告の定義の周知も必要だが、それだけでは住民の戸惑いは解消できない
 ▼県では「屋内待機勧告」など、分かりやすい言葉に変えることも考えているという。混乱を招く用語ならば、改めるにはばかることはない。