<金口木舌>ピースフルのメッセージ


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 きょうは海の日。沖縄で、夏と言えば、と問われると「海」が真っ先に思い浮かぶが、近年、若い世代では「夏フェス」を挙げる向きも多いだろう

▼夏フェスとは、夏場に行われるロックフェスティバルのことだ。CDが売れないと言われる今でも、全国各地で開かれる夏フェスは合計100万人以上の動員を誇る
▼沖縄でも12、13の両日、ロックの祭典、ピースフルラブ・ロックフェスティバルがあった。32年連続開催の歴史あるイベントだ
▼初めて見に行ったが、沖縄ロック界の大御所らが出演する2日目の客層に驚いた。普通なら民謡や演歌を好んでも良さそうな高齢者が泡盛を片手にロックの爆音で体を揺らす姿は、ほかの夏フェスでは見られない光景だ。オキナワンロックが息づくコザならでは、と合点がいった
▼県ロック協会が発行したオキナワンロック50周年記念史によると、フェスの基本理念は「沖縄の民衆の苦しみと沖縄の現状を伝え戦争のない未来を求めていくこと」という。名称にも非戦の願いが込められている
▼戦争のできる国に歩みを進める今の日本だからこそ、理念をかみしめ続けていくべき催しだ。月並みだが、自由に音楽を楽しむこのような空間は、平和でないと成立し得ない。米軍基地が集中する中部から発信される愛、平和、自由のメッセージを胸に刻み、これからも足を運びたい。