<金口木舌>「色」のイメージと力


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 白は「清潔」、赤は「情熱」。色には思い浮かぶ言葉や情景がある。「黄色い声」はアイドルに熱狂する少女たちの声。だが黄色以外だと声に色を付けてもしっくりこない

▼それでも声の力でイメージできることもある。そう感じさせたのはガジマル保育園(那覇市)の4、5歳児。名護市辺野古の浜で18日、米軍キャンプ・シュワブに向かい「ゴンちゃん頑張れ」と声を合わせた
▼絵本に登場するジュゴンを思いやる声は色に例えれば海の青か。その澄み切った声は基地のない平和な沖縄を連想させた。だが、灰色のオスプレイに声をかき消される場面も。爆音に耳をふさぐ姿が痛々しかった
▼「きれいな海が消えるかもしれない」。園が名護市東海岸を訪れた理由だ。新基地建設が計画される沖縄の今を目と心にとどめてほしい-。園長らの思いを感じ取った園児の声は頼もしく響いた
▼その濁りのない声が聞こえない者もいる。防衛省は住民が寝静まる中、新基地建設に向けて資材を搬入した。強硬姿勢は当然、住民らの不満と不安、怒りを増幅させた。青空の下、声を上げた園児たちとはあまりに対照的である
▼三日月のほのかな明かりを台無しにした投光機が映し出したのは、将来を担う園児の願いを無言で踏みにじる防衛省の姿だった。ライトで照らされるシュワブ内は、「抑圧」のイメージもある黒が浮き立った。