<金口木舌>電車にいた第二期のウチナーンチュ


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 その華やかな集団に、羽田から京急に乗り込んだ乗客は目を奪われた。19日に本紙が神奈川県川崎市で開いた「琉球新報移動編集局 川崎ウイーク」の琉球舞踊公演に出演した師匠たちのことだ

▼うちなーかんぷーを結い、夏の着物をうしんちー(帯で締め付けない沖縄風着付け)にした一行のうち15人は羽田から電車に乗り込んだ。「せっかく沖縄の装束をしてきたんだから東京の人に見てもらいたくてね~」。師匠たちがいたずらっ子のように笑う
▼移動編集局では勝方=稲福恵子早稲田大教授の分析が興味深かった。沖縄人(ウチナーンチュ)が本土に同化しようとした時期を第1期、沖縄ブームが起こり沖縄人自身が沖縄の文化を取り戻そうとした時期を第2期と評する
▼差別の中で“本土化”するために言葉を変え、生活改善運動をした第1期は長く続いた。一方、東京で沖縄をアピールした師匠たちは間違いなく第2期だ
▼電車で何人もの乗客から「沖縄ですか、すごい」と写真を撮られた。若い男性に「母が沖縄出身。うれしい」と話し掛けられたと喜ぶ。勝方氏によれば目指すは本土を沖縄化する第3期だ
▼オスプレイ配備など軍拡という名の負の“本土の沖縄化”が進むが、沖縄はそれを望んでいない。勝方氏の言う「文化の力で外交をしてきた沖縄の知恵」を発揮して、アジアの国々と友好関係を築く“沖縄化”を広めたい。