<金口木舌>政治を考える日


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 「今太閤」ともてはやされた田中角栄元首相がロッキード事件で逮捕されたのは、38年前の7月27日だった。以来、法学者らはこの日を「政治を考える日」として民主政治の在り方を追求する

▼田中氏には日中国交正常化などの業績もあったが、首相経験者の逮捕という衝撃や事件後の金権政治批判で、政治への信頼は地に落ちた。それらの反省を踏まえ、クリーンな政治を目指そうという行動だ
▼金権政治とは、金の力で物事を思い通りに進めようとする政治のことだ。田中氏は、派閥や政党が違う政治家、官僚らに金をばらまき、「数こそ力」とばかりに権力基盤を強固なものにした
▼政治と金は今でも続く課題だが、最近は権力を奪い取るための金権政治というより、強者が弱者を従わせるための手段に使われている節がある。基地負担が増える都道府県の協力度合で金額を決める再編交付金が最たる例か
▼それも知事選をにらんで「協力を促す」(本紙22日付3面)ためというのだからあきれる。札束で頬をたたくようなやり方で県民が反対する新基地建設を進めようというのであれば、政治はこの40年で劣化したといわれてもしょうがない
▼あらためて政治とはどうあるべきか、「考える日」に見直してみたい。国民の利益を追求するのは政治家だけの仕事ではない。私たち有権者一人一人の仕事でもあるはずだ。