<金口木舌>謎解明でビジネスを

 「土用丑(うし)の日」にかば焼きを食べながら、ニホンウナギに思いをはせた。国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストで「近い将来に絶滅の危険性が高い種」と指定するなど極端に数が減った

▼昔から食用として親しまれてきたが、生態は驚くほど分かっていない。最大の謎が産卵場だ。ニホンウナギが日本のはるか南、マリアナ諸島付近で産卵すると分かったのは1991年になってのこと。正確な場所は依然不明だという
▼謎の解明はビジネスチャンスにもつながる。恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)発で初めてのベンチャー企業、沖縄プロテイントモグラフィーが8月に始動する。ビジネスの核は、タンパク質の構造を3次元で可視化する世界で唯一の技術だ
▼OISTで研究するウルフ・スコグランド教授が開発した。従来の手法では解析が不可能だった約8割のタンパク質の構造が分かるようになった
▼「大きな市場の可能性を感じ、挑戦することにした」。沖縄プロテイントモグラフィーの亀井朗社長が語るように、医薬品開発会社からの需要は高いのではないか。沖縄からまた一つ、夢のあるビジネスが生まれた
▼謎だったことが、新たな研究で解明されることがまだあることにもワクワクする。生態が解明されることで、ニホンウナギがレッドリストから名前を消す日も来るかもしれない。