<金口木舌>「しまぐゎー」でいいじゃない


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 尖閣諸島にある名称のない五つの無人島に名前が付いた。名付け親は日本政府。晴れのお披露目はなく、同時に名が付いた全国153島と共にホームページで一挙公開となった。少々味気ない

▼五つの島は「領海や排他的経済水域の外縁を根拠付ける離島」であり「保全・管理」のため名前を付けたとホームページに書いてある。やはり中国を意識しているようだ。早速「一方的」だと中国は反論した
▼それにしても官製の島名はいただけない。「南東小島」「南西小島」「東小島」などと方角の羅列では興がさめる。久場島と南小島の周辺にある小島らしい。マージャンの牌(ぱい)が頭に浮かんだ
▼沖縄の祖先は尖閣の島々にしまくとぅばの名を残した。魚釣島は漁具の銛(もり)を指す「いーぐん」。島の形が似ているそうだ。南小島と北小島は、その小ささを表して「しまぐゎー」。お仕着せの島名より親しみが湧く
▼琉球と中国を行き来した進貢船や冊封船は、尖閣の島々を「海の標識」とした。伝統的な漁場でもあった。歴史や風土とは縁のない島名を頂いても県民は喜ぶまい。日中関係の悪化を心配するばかりだ
▼島々を目印に海原を渡った祖先に学ぼう。往時のうみんちゅの気概にも。いたずらに国同士の領有権争いには巻き込まれるまい。島に生きるわれわれは「しまんちゅ」。されど心は「インターナショナル」でいこうじゃないか。