<金口木舌>高級紅茶への挑戦


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 若手営農指導者と農家の「対話」が本紙連載(7~9日付)で紹介された。沖縄農業の競争力強化に二人三脚で取り組む様子からは、その先にある「もうかる農業」への一歩が見える

 ▼生産者同士が連携し将来を描く動きもある。大宜味村で先ごろ結成された「青年農業者の会」がそう。「おおむね50歳まで」の農業経営者が交流し、生産力向上を目指す
 ▼村内の農業に活気が出てきた背景には、村外出身の就農者が増えたことがある。豊かな水と土壌を求め、根を張ろうとする若者らの姿は、過疎化が進む地域には心強い
 ▼会員が栽培するのはシークヮーサー、ソバ、カボチャ、マンゴーなど多彩。作物は違えど、情報を共有することは販売ルート開拓や加工技術習得に役立つ。6次産業化へもつながろう
 ▼その大宜味村で過日、紅茶生産組合が立ち上がった。村農業委員会によると、寒暖差や適度な霧など世界の紅茶名産地と似た環境にある。高級紅茶作りを目標に5年間の栽培計画を立てた。年明けに苗木千本を植え付けるゼロからの出発だが、新ブランド確立へ地域の夢は膨らむ
 ▼村も県栽培研究センターと生産者のパイプ役を担う。近く試飲会を開き、高級紅茶の味を“体感”する。かつて製茶工場が点在した大宜味村は茶どころで知られた。高級紅茶作りへの挑戦は、やんばる活性化への一手にもなる。