<金口木舌>政府との距離の取り方


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 「外遊か盆踊りか」と揶揄(やゆ)される国会議員の夏。安倍晋三首相も夏休みに入り、国会周辺は静かだ。しかし6日の首相官邸はざわついた

▼仲井真弘多知事が安倍首相に11月の知事選に立候補することを伝えたからだ。翌日には沖縄で正式に記者会見したが、県民に向けた発表の1日前に首相には報告したことになる
▼選挙前、沖縄の政治家と政府の距離の取り方は神経戦の様相を帯びる。1998年に当時の大田昌秀知事が3選を目指した際、額賀福志郎防衛庁長官は来県しながら知事と面談せず、異例の“素通り”をした。「国と県のパイプは切れている」との印象操作の側面があった
▼4年前に前原誠司沖縄担当相が来県した際には、仲井真知事は面談を非公開にした。民主党政権が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に回帰した後で、政権と連動するとの見方を嫌ったためとみられた
▼2期8年で政府との間合いを熟知する仲井真知事のこと。1日早く報告をして、安倍政権の支援が得られているとアピールしたかったのかもしれない
▼そもそも必要以上に政府との距離感が斟酌(しんしゃく)されるのは、根っこに沖縄の過重な基地負担があるからだ。今知事選は対政府「協調派」と、沖縄の要求を主張する「対峙(たいじ)派」の対決と言われるが、根っこを見ずに枝葉の議論で終わらせたくはない。