<金口木舌> 豊見城市の魅力を探して


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 名護といえば「ひんぷんガジュマル」、南風原なら「黄金森」が思い浮かぶ。地域を象徴し、歴史を刻む場所が多くの市町村にはある。那覇市に隣接する豊見城市は、市の個性を探し求めている

 ▼埋め立てで誕生した市西部の豊崎地区は新しい街。マンションや住宅が立ち並び、アウトレットモールでは着飾った観光客が闊歩(かっぽ)する。市の中央部は畑が広がる農村地帯。マンゴー栽培が盛んだ
 ▼急激に人口が増え、「村」から一気に「市」に昇格した。「那覇市のベッドタウンとは言われたくない」。かといって田舎でも都会でもない
 ▼4年前、街づくりの指針となる「第4次豊見城市総合計画」を策定する際に、市民から豊見城の個性を創り出そうという声が相次いだ。愛着を持てる場所をつくりたい、豊見城らしさを創出したいと
 ▼そんな議論がようやく実を結びそうな気がする。豊見城市を舞台に地域発信型映画「スイーツライフ」の撮影が始まった。市役所に勤務する主人公が、市の観光をPRするために奮闘し、街の魅力を再発見する物語だ。美らSUNビーチ、瀬長島など市内各地の風景をカメラが追う
 ▼住民にとって見慣れた風景や風情も、撮影カメラを通した第三者の目で見詰め直すと違った魅力を放つだろう。映画は来年3月に初上映の予定。豊見城市の魅力を発見しに足を運びたい。