<金口木舌> 3600人の怒り


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 斜面を埋め尽くす人々。臨時に設置した仮設トイレ。人々に振る舞われるかき氷。ずらりと並ぶ十数台のバス。23日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で見たことのない風景が広がった

 ▼名護市辺野古への新基地建設に反対する県民集会には約400メートルの間に主催者発表で約3600人が集結した。「辺野古のゲート前にこれだけ県民が集まったことはかつてない」。予想以上の参加に事務局を務めた沖縄平和運動センターの山城博治議長は勇気づけられた
 ▼2004年には市民の抗議行動で頓挫した掘削調査が18日から始まり、計画は動いた。だが座り込む市民に悲壮感はなく、抗議行動を根気強く続けるため楽しもうという雰囲気さえ漂う
 ▼これだけ多くの県民が各地から時間をかけ辺野古に集ったのは、日米両政府への怒りにほかならない。力による押さえ付けには屈しないという県民の意思の表れだ
 ▼22日、カヌーでの抗議行動中、海上保安官にけがを負わされた男性は首にコルセットを巻き参加した。男性の「暴力には負けない。何度でも海に出る」という言葉は県民の思いも代弁する
 ▼さて日米両政府だ。何度も行われた県民大会と同様、「いろいろな意見がある」と無視を決め込むのか。強行な態度は、多くの国民の視線にもさらされていることに気付かなければ自らの首を絞めることになる。