<金口木舌>魔力に対抗するカード


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 ばくちで儲けた大金を商売物のかまどに隠したままで成仏できない男。夜な夜な化けて出た揚げ句、大金を見つけた男とばくちを打って結局巻き上げられる。落語の「へっつい幽霊」は死んでもやめられないほど賭博好きな幽霊の話

▼洋の東西を問わず賭け事に熱くなる人はいる。「サンドイッチ」は、語源となった伯爵がカード賭博に夢中になるあまり、ゲームをしながら食べられるように作らせたのが始まりと言われる
▼気になる調査結果が出た。日本はギャンブル依存症の疑いのある人が成人の5%に上り、米国などに比べて際立って高かった。パチンコなどが身近にある環境が要因に挙げられている
▼沖縄でも娯楽を通り越してのめり込む人がいる。不動産業を営む知人は起業後すぐ、遊技場の周囲に「土地買います」と看板を出した。先祖伝来の土地を売ってでもパチンコをという客が相次ぎ、効果大だったという
▼秋の臨時国会でのIR推進法案(カジノ法案)審議入りを前に、沖縄を含め各地がカジノ誘致に手を挙げた。が、誘致派の最右翼だった東京都は慎重路線にかじを切った。カジノに対する世論を考慮したのだろう
▼食事の時間を惜しむくらいならほほ笑ましいが、われを忘れて夢中になる人もいるのがギャンブル。カジノ誘致ではなく、依存症を招くほど強い魔力を封じるカードこそ必要だ。