<金口木舌> 「上から目線」の政治


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 「上から目線」という言葉が盛んに使われだしたのは2008年ごろという。最近では流行語の域を超えて国語辞典にも載っている。「他人を見下すような偉そうな態度」が、その語意である

 ▼テレビのバラエティー番組なら「上から目線」はタレントの芸風となろう。それも「何を偉そうに」と周囲に冷やかされ、笑いを取るという筋書きがあってのこと。政治家の場合、こうはいかぬ
 ▼人を見下す発言は政治家の評判を落とす。08年9月、福田康夫元首相が辞任会見で記者に言い放った「あなたとは違うんです」に実例を見る。後任の麻生太郎首相も横柄な態度や発言が世間の不評を買い、支持率を下げた
 ▼11年7月、菅政権時の松本龍元復興担当相は東日本大震災の被災地で「知恵を出さないやつは助けない」と発言し、内閣を去った。後に「軽度のそう状態」と診断されたが、菅政権には打撃となった
 ▼最近の例を一つ。ヘリコプターに乗って辺野古沖のボーリング調査を文字通り上から眺めた武田良太防衛副大臣だ。調査の様子は見たのに抗議行動は「上空から確認できなかった」そうな。結局は見たくなかったのだろう
 ▼福田氏や麻生氏ら世襲政治家にとって「上から目線」はお家芸かもしれぬが、民意から離れた政治を芸風にされては困る。安倍政権はいかがか。県民は真正面から見据えていることをお忘れなく。