<金口木舌>打ち上げ花火はノー


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 「仕事も出来ない男に/家庭を守れるはずなどない」という歌詞が印象的なさだまさしの「関白宣言」が発表されたのは1979年。15年後発売された「関白失脚」でさだは「仕事も出来ない俺だが/精一杯がんばってんだよ/俺なりに」と歌った

▼ユーモラスに弱音をこぼす歌詞に、時代の変化がにじむ。最新の男女共同参画白書では「結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考えに賛成する独身男性の割合が、若い世代ほど低いとの結果が出た。性別役割分担に対する意識も変わりつつある
▼安倍改造内閣が発足し、女性は過去最多に並ぶ5人が閣僚入りした。政策決定の場に女性が増えるのは喜ばしいが、新設の「女性活躍担当相」という名称に違和感を覚える人も少なくないだろう
▼女性の社会参加を促すためには男性の子育てや介護への参加、長時間労働を是とする企業風土の変革が欠かせない。理想は男女とも柔軟な働き方ができる社会づくりだ
▼ひとり親家庭や非正規労働者の割合は女性が高い。厳しい環境にある女性を支援する施策をきめ細かく打たなければ、安倍首相が言う「女性が輝く日本」の実現は絵に描いた餅だ
▼「アベノミクス」をはじめ安倍政権は言葉を巧みに操って政権浮揚につなぐすべにたけているが、注意が必要だ。男女共同参画を掛け声だけで終わらせないように。