<金口木舌>基地負担軽減のうそ


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 「日本初に参加しよう」というキャッチフレーズに後押しされた。社会に出て間もなかったころ、沖縄の未来に希望を抱き投票所に足を運んだことを思い出す

▼県規模では全国初の県民投票が行われたのは1996年の9月8日だ。基地の整理縮小と日米地位協定の見直しに賛成が89・09%だった。米軍基地の重圧や負担に対し、沖縄県民が意思を初めて表明した歴史的な出来事だった
▼18年を経て現状はどうか。日米地位協定の見直しは以降も一度も行われていない。2013年4月に日米両政府が合意した嘉手納基地より南の米軍施設返還・統合が全て実現しても、県の米軍基地占有率は0・7ポイント下がるにすぎない
▼しかも、返還施設の大半は県内への移設などの条件付きだ。基地の整理縮小や負担軽減の実感には程遠い。沖縄県民の総意に耳を貸さない日米両政府の姿勢も何ら変わっていないといえる
▼基地負担軽減といえば、4日発足した第2次安倍改造内閣で菅義偉官房長官が新たにその冠を得た。県民の思いを無視し、名護市辺野古への新基地建設で旗振り役を務める菅氏が「基地負担軽減担当」とは片腹痛い。むしろ「基地押し付け担当」ではないか
▼県民は基地の整理縮小や負担軽減という言葉にはもう、だまされない。7日の県内統一地方選で370人の地方議員が誕生したが、県民の思いをくみ取る議員であってほしい。