<金口木舌>かりゆしウエアの演出効果


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 身なりには無頓着な方である。普段着は量販店で買ったシャツと数本のジーンズで通してきた。服を変えても風采はそれほど上がらぬものだと心得ている

▼それでも、かりゆしウエアには時と場を選ばぬ万能服としての魅力を感じている。ただ、着る人を選ぶようだ。大柄な人ほど華やかな柄が映えるように見える。小柄な当方では服に負けてしまう
▼先日の統一地方選を戦った候補者にとって、かりゆしウエアは「勝負服」の役目を果たしただろう。選挙は見栄えではなく人物や政策で票を投じるものだが、親しみやすさや郷土色を演出するには最良の服となる
▼第1次安倍政権は目ざとかった。2007年6月1日の閣議の前、かりゆしウエアを着た閣僚が報道陣の前に並んだ。普天間問題を後方に退け、沖縄振興への意欲を前面に打ち出すようなイメージ広告の効果を持った
▼ことしもかりゆしウエアによる閣議はあったが、往時の演出効果は望めまい。辺野古沖にくいを打ち込む政権のやることだ。安倍晋三首相や菅義偉官房長官が時折口にする「寄り添う」と同様、県民から共感を得るのは難しそう
▼内閣改造が終わり、大臣の沖縄詣でが始まった。沖縄担当相を皮切りに続々やってこよう。かりゆしウエアを通じた沖縄の発信は結構だが、うわべだけの「寄り添い」は勘弁してほしい。これこそ無頓着ではないか。