<金口木舌> バス利用のすすめ


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 バスが好きだ。那覇の市内線を利用しているが、音楽を聴いたり読書をしたり、通勤の際の息抜きになっている

 ▼いつも思う事がある。市内線は乗車時に230円を払うが、ちょうどの額を持っていないとき、500円玉や千円札を専用の投入口に入れる。するとお釣りが出て運賃を支払ったことになる
 ▼だが、この投入口とは別に運賃箱もあるので、先ほどの投入が両替だと勘違いした人が二重にお金を払うことがある。それを防ごうと運転手は手で運賃箱の口をふさぐ。呼吸がずれると、二重払いの分を運転手が後で返さなければならず、面倒くさいことになる
 ▼かく言う筆者も3度、苦い経験をした。困惑する運転手や利用客の顔を見るたび、いい方法がないか考え、いつの間にか日課になった。アイデアは浮かばないが、考えることがひそかな楽しみになっている。バスのひとときにゆったり思いを巡らすことも有意義ではないか
 ▼復帰以降、減少傾向だったバスの利用者数が2013年度は増加に転じた。バスの現在地が分かるロケーションシステムなどの取り組みが奏功したという
 ▼鉄軌道の敷設は県民の願いだ。バスの積極的利用は、公共交通を生活に根付かせるという意味で鉄軌道を後押しすることにもなろう。バス停まで歩くので、健康づくりにも役立つ。息抜きと合わせ一石二鳥だ。使わない手はない。