<金口木舌>秋の夜長と眠り


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 「医師に必要な資質は」と尋ねると、思いがけない答えが返ってきた。「いつでもどこでも眠れること」。数年前、小児科の医師を取材した時の話。命と向き合う職業にはタフネスぶりが求められるのかと妙に納得した

▼眠りに関連するビジネスが盛んだ。「快眠グッズ」と銘打ち、大型スーパーではマットレスや枕を販売する一角をよく見かける。それだけ眠りに悩みを抱えている人が多いのだろう
▼厚労省の統計によると、夜の睡眠時間は15歳前後で8時間だが、45歳になると約6・5時間、65歳では約6時間に減少する。加齢に伴い睡眠時間が短くなることは多くの研究で示されている
▼だが、睡眠時間の減少は生理現象だといわれても、若いころと同じ時間眠ることができないと、眠った気にはならないものだ。睡眠不足は、うつ病など心の病との関連があるというから注意が必要だろう
▼不眠には、いびきがうるさい人や肥満者に特徴的な「睡眠時無呼吸症候群」、足の不快感が気になって眠れない「むずむず脚症候群」など他の疾患が背景にある場合も。専門家は体の状態に応じた医療機関への受診を勧めている
▼ダライ・ラマ14世は「睡眠は最高の瞑想である」と心の平安につながる眠りの大切さを説いた。23日は秋分の日。夜の長い季節に入る。生活リズムを整え、快適な睡眠を手に入れたいものだ。