<金口木舌>ウチナームンでハラール料理


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 イスラム教徒(ムスリム)は豚肉やアルコールだけでなく、その成分が入った調味料などもご法度。雑食性の民の一人としては何とも味気ない気がする

▼県内初の「ムスリム・フレンドリーホテル」に認証されたホテルゆがふいんおきなわ(名護市)の試食会でその味を確かめてみた。夕食用お膳は刺し身や天ぷらのほか、ゴーヤーのみそ煮、モズク酢、ジーマーミ豆腐などが並んだ
▼イスラム教の戒律に従って調理・加工したハラール対応の沖縄料理は定番の豚肉こそないものの、ひと工夫凝らした味と見た目の鮮やかさに満足した。「味気ない」どころか、県産食材の新たな一面を見た思いさえした
▼世界でムスリムは16億人を数え、世界の観光消費額の10%を占めるといわれる。狙わない手はない。台湾でもハラール認証の取得申請が急増し、国内の観光地も着々とハラール対応を進めている
▼県内でもハラール対応の菓子や牛肉もお目見えするなど、ムスリム観光客誘致に向けた態勢づくりは始まっている。1人当たり県内観光消費額は国内客の頭打ちが続く。ムスリム観光客は現状を打開する可能性を秘めている
▼試食後「沖縄の食材を堪能した」と話すサイード・アクター日本アジアハラール協会理事長の笑顔に、沖縄観光発展の大きな可能性を見た。異文化との出合い、触れ合いを大切にする沖縄の本領発揮といきたい。