<金口木舌>次の交渉は?


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 ワクワクしながら他国の投票結果を見詰めたのは初めてだった。新国家は生まれなかったが、民主的な手法を見せてもらった。英国からの独立を問うたスコットランド住民投票である

▼投票前の英政府の対応が興味深かった。3カ月前には「どちらが得か」とキャンペーンを張った。英国残留なら約24万円の経済的恩恵があるとし、使い道12例をレゴブロックで表現した
▼一つは海外のビーチで過ごす10日間の休暇。ビキニ姿の女性が日光浴し、日焼けクリームも買えると付け加えた。ユーモア交じりの呼び掛けは逆効果だったかもしれない。ロイター電は、市民がツイッターで「よくも私たちをばか者扱いできるものだ」と語ったと伝えた
▼世論調査で独立派が反対派を上回ると、キャメロン首相は通貨ポンドを使わせないとあらためて圧力をかけた。現地入りの際は「独立は悲痛な離婚だ」と情に訴えた
▼沖縄の基地問題ならどうか。日本政府はまず金の話だろう。「名護に5百億円基金創設」とのたまったように。それが通用しないと、民意に反した新基地建設を「もう過去の問題」とつぶしに躍起。次は英政府に倣い圧力と情か
▼独立派が負けたスコットランドだが、自治権拡大の約束は取り付けた。北海油田の権利や福祉の充実、非核化の願いはどう決着するか。圧力と情に負けないスコットランドの交渉力を沖縄も注視する。