<金口木舌> 地球をクールに


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 ゆでガエルの例え話がある。水に入れたカエルをゆっくりと熱していくと、温度上昇に気付かず死んでしまうという話だ。変化に鈍感なことを戒める際によく使われるが、実際にはカエルは途中で逃げ出すそうだ

 ▼翻って、ヒトはどうか。地球が熱されていることに敏感だろうか。国連の気候変動サミットに合わせ、世界気象機関が動画サイトで「2050年の天気予報番組」を公開している。日本版では「京都の紅葉の見頃はクリスマスごろ」「沖縄ではサンゴの白化が進み、10年以内には美しい姿が二度と見られなくなりそう」と告げる
 ▼この100年で、地球の平均気温は0・74度上昇した。特にここ数十年は加速している。対策を取らないと、2100年には1・8~4度も暑くなるという。1・6度の上昇で生物種の1~3割が絶滅に陥るとの指摘もある
 ▼沖縄の温室効果ガス排出量は2010年度で1399万トン。2000年度に比べ11%増、1990年度比では47%も増えた。産業部門は減ったものの、家庭や事業所、運輸で歯止めがかからない
 ▼次世代に緑の星を手渡すためには一人一人の日頃の行動が鍵になる。エアコンの調整、車依存からの脱却、小まめな消灯など、身近でできることはある
 ▼カエルとは違い、私たちは地球から逃げ出すわけにはいかない。考える動物としての英知が試される。