<金口木舌>イクメンを阻む壁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 女性なら「当たり前」だが、男性が子育てに積極的に関わるともてはやされる。「『イクメン』って何かおかしい」。時折、子育て中の女性から不満交じりの声を耳にする

▼公園やスーパーで乳幼児を連れた男性をよく目にする。厚労省によると、2012年度の男性の育休取得率は1・89%とまだ低い。それでも10年前(0・33%)の5・7倍に増えている
▼男性の育児参加を応援し、子育ての楽しさに引き込む言葉として「イクメン」の影響力は大きい。だが、職場にはまだ高い壁が立ちはだかる
▼連合が昨年実施した調査で、20~50代男性の11・6%が職場で子育てに絡む嫌がらせを受けたと回答している。「子育て制度の利用を認めてもらえなかった」「育休を取ればキャリアに傷がつくと言われた」。これではせっかくの制度も絵に描いた餅である
▼嫌がらせされた理由は「上司や同僚の理解不足」との回答が最も多かった。取材で会った県内企業の管理職は「子育てに時間を費やす人が増えると、他の社員から負担が大きいと不満が出る」と嘆いた
▼問題は子育てだけではない。超高齢社会の進展で親を介護しながら働く人も増える。「ケア」の視点を社員同士で共有しなければ、乗り越えることは難しい。制度利用者をフォローする社員の評価も必要だ。支え合う職場は誰にとっても働きやすくなる。