<金口木舌>不便を取り除く策は


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 国会で久しぶりに夫婦別姓論議を見た。安倍政権の5人の女性閣僚が選択的夫婦別姓の是非について見解を述べた。かつては民法改正も論議されるなど白熱し、意見が対立しては放置されてきた問題である

▼働く女性にとって結婚後も旧姓を使い続ける方が都合がいいことは、5閣僚のうち4人が結婚前の姓を使うことからも明らかだろう。3人は旧姓使用、小渕優子経産相は夫が小渕姓に変えた
▼同じ旧姓使用でも意見は異なる。松島みどり法相は賛成派。逆に山谷えり子拉致問題担当相は過去に「家族解体法案だ」と言って反対している
▼今でも通称として旧姓を使うことはできる。そうすれば、結婚後も仕事の相手先にいちいち説明する手間も省け、名刺も作り直さなくていい。研究職なら論文の執筆者名を変えずに済む
▼しかし銀行口座も運転免許証も戸籍名しか使えない。企業の役員や自治体の長になれば、公文書などは戸籍名でなければならない。旧姓を使っていた太田房江元大阪府知事は、公務では使い分けせざるを得なかった
▼女性が社会で活躍するようになれば、同じように戸惑う例が出てくる。松島法相も「現実に不便を感じている人も増えている」と述べた。「女性活躍」を掲げ、過去最多の女性閣僚を選んだ安倍政権。女性の不便を一つ一つ取り除くことも期待しているのだが。