<金口木舌>無駄遣いはどちら?


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 問題です。米国で危険な食べ物の調査結果が出た。それは何か。「犯罪者の98%が食べる」「日常的に食べる子の約半数がテストで平均点以下」「暴力事件の90%は食べてから24時間以内に発生」。答えは「パン」。因果関係のないデータでも、人は数字にだまされやすいことを示す例として使われる

▼数字に強い財務省が先日出したデータもその類いか。小学1年生の35人学級を40人に戻すよう求める理由だ。35人学級導入の前後で、いじめは10・6%が11・2%に、不登校は4・7%が4・5%となり費用対効果が薄いという
▼どちらも複合的な要因が絡み合う問題で、児童数だけが原因ではない。現場の実態を知らない役人が、教員4千人と人件費86億円を削るために、都合のいいデータを並べたとしか思えない
▼大なたを振るうべきものは他にある。例えば国会議員。歳費や手当など1人当たり年間約6千万円が支給され、加えて政党交付金ももらえる。その血税から観劇やワイン、SMバーにまでお使いになる金銭感覚はどうか
▼消費税増税と引き替えだったはずの定数削減もどこ吹く風。財務省の口出しは難しいとはいえ、国会の自主性任せというのが歯がゆい
▼借金大国ニッポンのツケを子どもたちの世代に回しておきながら、さらなるしわ寄せはどうか。費用対効果というのなら、こちらのセンセイ方こそ見直しが必要だ。