<金口木舌>地域文化つなぐ市場の魅力


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 「カタ、カタ」と小さな機械が動く。立ち寄った本部町営市場の一角。かつお節を削る音が響く。常連客の注文に応じ量り売りをしていた。カツオどころの地域ならではの音だろう

▼市場に入ると、古風なたたずまいがひと味変わる。コーヒーの香りが立ち込め、市場の野菜を使ったカレー店やモツバーガー店、エステ店などが並ぶ。魅力的な店舗との出合いに心が奪われる
▼「新しい風」は2006年から市場で毎月実施する手作り市がきっかけだ。親近感が増したことにとどまらず、町の募集とも相まって空き店舗が埋まっていった。一つのアイデアが地域に息を吹き込む
▼名護市営市場にも先月、地元出身の20~30代の女性3人が切り盛りする果物&スムージー店が仲間入りした。北部産のドラゴンフルーツなどを使ったドリンクは早くも人気商品だ
▼代表の小浜夏希さんは幼いころからの市場ファン。母親とよく買い物に来た。「周囲の先輩たちがお客にスムージーの購入を勧めてくれる」とすっかり溶け込む。大型商業施設にはない「ゆいまーる」が顔をのぞかせる
▼この市場は舞台イベントを週末、相次いで実施する。2階の調理室は4月から無料開放だ。市場の食材を活用した各種料理教室が行われる。買い物する場からつくり出す場へ-。「まちぐゎー」の新たな発信力が地域文化をつないでいく。