<金口木舌>政冷観熱の時代に


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 積み上げられた日本製の菓子を争うように買っていく。家電製品にも人だかり。その名も「アキハバラ」という成田空港の免税店は、通り抜けるだけでも汗をかくほどごった返す

▼圧倒的に多いのは中国からの観光客だ。店員によると、先月は炊飯器だけで3100万円売れた。訪日外国人向け消費税の免税対象が拡大され、食品や化粧品も免税になった。店員は「日本の菓子はアジアでは高級品。みんな段ボールごと買っていく」とほくほく顔だ
▼意外と言っては失礼だが、成田は羽田空港の国際化で客を奪われたと思っていた。だが、実は格安航空会社(LCC)の乗り入れで昨年は過去最高の旅客数と発着回数を記録し、ことしも伸びている
▼旅客の増加に合わせ、免税店を拡大し「ナリタ買い」をアピールする。待合客のために日本文化の体験コーナーも設けた。来春はLCC専用第3ターミナルを開設する
▼安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の初会談は一切笑顔のない25分だったという。“政冷経熱”といわれた中国との関係は、中国の反日デモによる日本企業の撤退などで経済関係も冷え込んだ
▼しかし中国からの観光客は完全復調し、今や“政冷観熱”となった。成田だけでなく全国の観光地が注目する。那覇空港第2滑走路の着工も予定される沖縄も例外ではない。商機を逃さない熱が必要だ。