<金口木舌>結婚の向こう側


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 「氷点」「塩狩峠」などの作品で知られる作家三浦綾子さんにとって、作品を生み出した原動力は夫光世さんの存在だった。綾子さんの取材や講演会に付き添い、闘病中に綾子さんが語る物語を聞き取っては口述筆記した

 ▼10月30日、光世さんが帰らぬ人となった。今ごろは先に逝った綾子さんと過ごしているだろう。病めるときに支え合えるか。二人三脚で生きた姿に夫婦関係の原点を見る
 ▼ところが世の中、仲むつまじい夫婦ばかりではない。「いい夫婦の日」をすすめる会が、全国の既婚者に、生まれ変わったら今の相手を選ぶかを聞いたところ、「選ぶ」と答えたのは男性43%で2人に1人。女性は34%で3人に1人にとどまった
 ▼調査は、別の人との結婚を望む人は今の相手への信頼感が低いと推測する。夫婦円満の秘けつは「話をする・聞く」との回答が最多で、「感謝を伝える」と続く。会話が夫婦関係の潤滑油になる傾向が表れている
 ▼作家サン・テグジュペリは「愛、それはただ互いに見つめ合うことではなく、ふたりが同じ方向を見つめることである」と説く。人生を一緒に歩む同志のような間柄が理想なのだろうか
 ▼きょう22日は「いい夫婦の日」。「いい夫婦 今じゃどうでも いい夫婦」と皮肉るサラリーマン川柳のようにならないためにも、夫婦関係も小まめな手入れが欠かせない。