<金口木舌>魅力ある仕事とは


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 大手生保会社が「大人になったらなりたいもの」を小学生に聞くアンケートがある。男子は野球やサッカー選手、女子は食べ物屋さんに幼稚園・保育園の先生が例年首位を争う

▼世相も反映するのか、2002年に田中耕一さんがサラリーマンながらノーベル化学賞を受賞したこの年は、男子で学者・博士がトップに躍り出た。東日本大震災後は、医師が女子の人気を集める
▼1985年から続くアンケート結果を見ると、出そうで出てこない職業がある。「政治家」だ。劇場型政治の小泉政権、09年の政権交代、政治家がテレビに登場する時間はノーベル賞受賞者より多かったと思うが、人気はさっぱり
▼人気、不人気の仕事を考えるキーワードは「夢」ではないか。世界を舞台に躍動するスポーツ選手、人類の未来を開く学者、尊い命を守る医師。どれも夢を託すのに十分な魅力がある
▼一方で政治家のイメージはどうだろう。選挙前の公約と実行する政策が違って懸命に言い繕う。本来なら最も未来に責任を持つべき仕事をすべき人たちだが、そんな姿を見て子どもたちが夢を持てるだろうか
▼生活基盤や福祉、教育など、人々の暮らしをデザインするのが政治家の仕事だ。それは次代を担う子どもたちにこそ知ってほしい。総選挙に突入する今、うわべだけでない、子どもたちにも届く言葉で政治家に語ってほしい。