<金口木舌>時間が飛ぶ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 この季節になると恩師がつぶやいていた言葉を思い出す。「Time flies」。日本語の「光陰矢のごとし」と同意だ。「時間が飛ぶ」とはうまいことを言うものだ、という感慨は年を取るほど深まる

▼流行語大賞も決まり、メディアでは今年を振り返る企画が始まる。STAP細胞問題では科学分野での成果主義の過熱が問われた。号泣県議は地方議会の政治と金の問題をあぶり出した。広島の豪雨災害は減災への備えを考えさせられた
▼沖縄は選挙の年だった。1月の名護市長選に始まって9月の統一地方選、11月の知事選と、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が問われた。民意の重みを感じる年ではなかったか。そして1年を振り返る間もない師走の選挙だ
▼衆院選はちょうど2年の安倍政権の評価を定める選挙といえる。安倍政権は発足後すぐに大胆な金融緩和策を取り、「アベノミクス」を打ち出して経済を足掛かりに政権基盤を強化した
▼環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加し、特定秘密保護法を成立させ、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。国の方向を定める政策が矢継ぎ早に決まった印象を受ける
▼手法が「決められる政治」なのか「強権」なのかも問われるだろう。衆院選で示す民意は新しい年からの日本の行方を決める。飛び去る時間の中で熟考の1票を投じたい。