<金口木舌>女性は平和の先駆け


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 元県婦人連合会会長の故宮里悦さんの言葉は、今でも輝きを失っていない。「イナグや平和のサチバイ」。女は平和の先駆け。その言葉通り、女性の権利回復に加え「1フィート運動」などの平和運動に情熱を注いだ

▼その宮里さんが、ジョジョ企画が発刊した「姉妹たちよ 女の暦2015」に登場している。暦は多彩な分野で道を切り開いた女性たちを象徴的な言葉と共に紹介している。創刊号は女性解放運動家の平塚らいてうが登場した
▼平塚は女性による日本初の文芸誌「青鞜」を編集・発行した。明治末期から大正初期にかけて発行され、家父長制の下で「良妻賢母」が求められた時代に女性の人権や自立を唱えたが、度々発行禁止の憂き目に遭った
▼衆院選をテーマに放送された討論番組で、評論家とタレントの出演が中止になった。数日前に自民党がテレビ局に報道の公平性確保を求める文書を渡しており、その結果とも受け取れる。萎縮するメディアは権力者にとって都合がいい
▼名護市辺野古で普天間飛行場の移設に反対する住民たちにとり、精神的な支えは戦争体験のある「おばぁ」たちだ。東京都では集団的自衛権の行使容認などに反対し、母親たちが「ママデモ」を展開した
▼表現の自由が脅かされ、戦前と似た空気が日本を覆う。だからこそ今、宮里さんが託した“遺言”が心に響く。