<金口木舌>国民を不安に陥れる国


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 ロックバンド「THE BOOM」が17日の日本武道館公演で解散する。「風になりたい」など名曲は多いが、150万枚以上売り上げた「島唄」は世界的にも有名だ

 ▼ボーカルの宮沢和史さんは歌詞に反戦への思いを込めた。宮沢さんは2013年3月の本紙連載「島ぬシンカヌチャー」で、「島唄」を「沖縄戦を知らない人々に伝える歌」として書いたと説明している
 ▼歌詞冒頭の「嵐」は沖縄を襲った米軍の艦隊。「ウージ(サトウキビ)」の部分は、「集団自決」(強制集団死)の悲劇を歌い、永遠に平和が続いてほしいと祈る
 ▼宮沢さんは13年10月、沖縄での講演で反戦を伝えることも「20年間歌い続けた」理由に挙げた。バンド解散と同時期に、戦時中の国民監視との類似性も危惧される特定秘密保護法が施行されるのは何の皮肉か
 ▼東京新聞は6日付で、陸上自衛隊の情報保全隊から「反戦平和の歌を歌った」などとし、監視された経験を持つ男性を紹介した。男性は国への抗議活動が監視されることを危惧する。時代を逆戻りさせることがあってはならない
 ▼きょう8日は「イマジン」などで平和を訴えたジョン・レノンが殺害された日だ。法の施行後、「イマジン」や「島唄」など反戦歌が聴けなくなるのでは、との懸念さえささやかれる。国民を不安に陥れる法律が施行されるこの国は、ジョンの目にどう映るだろうか。