<金口木舌>県民代表の立場で


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 テレビ画面いっぱいに日の丸が並んでいた。安倍晋三首相が衆院選最後の街頭演説に立った東京・秋葉原駅前。異様な光景にも映ったが、愛国心教育を進める安倍政権が目指す望ましい姿なのだろう

▼ことしは1月の名護市長選を皮切りに選挙の年だった。11月の沖縄県知事選と14日に投開票された衆院選は、沖縄と日本にとって転換点となった選挙として歴史に刻まれるだろう
▼名護市辺野古への新基地建設が最大争点となった知事選。県民は基地建設を推進する現職に約10万票もの大差をつけ、反対する翁長雄志知事を選んだ。だが、政府は圧倒的な県民意思に対する総括や対応をしないまま衆院選に突入した
▼解散総選挙は県知事選で受けた打撃を隠すためとの批判も免れない。集団的自衛権の行使容認や特定秘密保護法などの重要事項を争点から外したことも忘れてはならない。安倍政権は圧倒的な大勝を背景に「平和憲法」に手を付けるだろう
▼全国的には安倍政権に太鼓判を押したという結果になった。だが、沖縄選挙区では知事選に続き争点となった新基地建設と安倍政権に「ノー」の民意が示された
▼沖縄から選ばれた衆院議員にお願いがある。公約順守は当然だが、皆さんは県民代表として国会に立つ。比例で復活当選した方も、沖縄選挙区での結果を県民の意思と受け止め、国政に臨んでほしい。