<金口木舌>バッジの重み


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 今衆院選の比例北海道ブロックで「支持政党なし」という名の政党が約10万票を得たことが話題となった。議席は得られなかったが、全票の4・2%を獲得した。社民党や次世代の党を上回る

 ▼既存政党へのしらけか。法案ごとに有権者の賛否を問うという主張が魅力だったのか。はたまた投票時に勘違いをしたのか。議論かまびすしいが、いずれにしても珍事には違いない
 ▼もう一つ、今衆院選の珍事と言われているのが沖縄選挙区だ。全4選挙区で落選した5人とも比例で復活し、立候補した9人全員が当選した。死票ゼロは極めて珍しい
 ▼落選候補への票は、生かされないという意味で「死票」という。私たちが投じた票は全て国会議員誕生につながった。結果、県選出・出身の代議士は過去最多になった。沖縄の声が国政に反映されるという意味で喜ばしいことだが、いまひとつふに落ちない感も残る
 ▼本紙の当選者座談会に出席した自民党の復活当選者たちに晴れやかな笑顔はなかった。公約を守れるか問われると、一層重苦しい空気になった。県民から選ばれなかったという重みはそれぞれに感じているのだろう。しかしバッジの重みは等しい
 ▼投票率は芳しくなかったが、県民は政治にしらけていないと分かる選挙でもあった。復活した議員は、党の票で勝ったと言われようが、軸足は県民に置いてもらいたい。