<金口木舌>気の緩みがもたらす代償


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 絵本「十二支のはじまり」は元旦、動物たちに集合をかける神様の言葉から始まる。大事な役目がもらえるとネズミやウシら12種の動物たちは神様の下に向かうが、ネコは集まる日を忘れ、寝過ごしてしまう

▼翌日、ネコは駆け付けるが、十二支には入れてもらえない。少しの気の緩みが運命を大きく左右することもある。苦い教訓話とも読み取れる
▼気の緩みといえば、飲酒運転事故も「自分は大丈夫」という思い込みが引き起こす事故の一つ。県内の1~10月末の飲酒運転の検挙件数は1016件に上り、人口千人当たり0・723人で全国ワーストと深刻な状況だ。今月の飲酒運転による逮捕者は26日現在76人で、前年の同じ時期に比べ10人も増えている
▼3年前、豊見城市内の自動車教習所で開かれた交通安全講話に20代の女性が登壇した。飲酒運転で男性をはねて死亡させ、服役して出所したばかりだった
▼女性は事故の日、同僚と飲酒した後、「大丈夫、酔っていない」と根拠のない理由で運転し、事故に至った。「他の人に同じ体験をさせたくない」という女性の願い、「一生償いがあるから結婚はしない」と言い切る沈痛な面持ちが忘れられない
▼親戚や友人と酒席で語り合う機会の多い年末年始。新年の運勢を間違った方向へ切らないためにも、気の緩んだ自分に酔わないようにしたい。