<金口木舌>戦前回帰を許すな

 童謡「赤とんぼ」や歌謡曲「からたちの花」。これらの名曲を作曲した音楽家、山田耕筰が49年前のきょう12月29日に亡くなった

▼山田は沖縄出身の音楽家、宮良長包とも親交が深かったことでも知られる。日本人で初めて交響曲を作曲したのも山田だが、戦時中は100余曲もの軍歌や軍国歌謡も作った
▼戦時体制が色濃くなった1941年、思想統制の役目を担った情報局管理の「日本音楽文化協会」副会長に就任。軍服姿で行動し、音楽家らの慰問を先導した。戦時中は文学、映画など芸術も制約を課せられ、戦意高揚に役立つ創作を要求された
▼ことしは戦前の「治安維持法」とも指摘される特定秘密保護法施行の年として歴史に刻まれる。俳優や映画監督らでつくる「映画人の会」が廃止を求める声明を出すなど、芸術家らも危機感を強めている
▼本紙20日付の連載「『知る』が罪になる国」では、お笑い芸人の小波津正光さんが「捕まることさえ笑いにして、悪法だと知らしめられるならおいしい」と語った。戦争を行う国づくりに加担したくないという芸人の気概を感じる言葉で大いに共感する
▼「表現」の自由は「自主規制」されやすい性格を持つことも指摘される。戦前に回帰させないためには芸術家の気構えも大事だ。一方で公権力の暴走を許さないよう国民一人一人が目を光らせることが求められる。



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