<金口木舌>コザ騒動からみる今


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 孔子の「礼記(らいき)」に、こんな故事成語がある。「苛政(かせい)は虎(とら)よりも猛(たけ)し」。人が虎に食われるような地でも悪政がはびこる地よりはましという逸話からくる

 ▼1970年12月20日に「コザ騒動」は発生した。米兵の起こした3件の事故をきっかけに群衆が蜂起。米憲兵の車両を含め外国人車両80台余が投石で破損、放火された
 ▼米軍占領後、コザ騒動に至るまでの25年間には6歳女児を含め、幾多の血涙が流れ、一人一人にやるせなさと怒りが積み重なっていた。米兵らの事件・事故で住民が犠牲になっても無罪。裁判権はおろか人権すらない。くすぶる憤りに火が付いてもおかしくなかった
 ▼そんなコザ騒動を大阪市立大学の山崎孝史教授は、ことし行われた知事選、衆院選と比較し、近似性があると見る。その特徴は、
本来、米軍と親和性のある住民も結果的には圧政に反発し、蜂起した点にあるとする
 ▼コザ騒動の翌年71年8月17日に発生した第二コザ事件は、住民が米兵間の人
種対立の巻き添えになった。米民政府が人種政策に沿わない米兵相手の特飲街にオフリミッツなど制裁を次々科し、反発したと推察する
 ▼44年前の「オールコザ」が「オール沖縄とだぶってみえる」との総括に、確かにことしは国に「ダメだし」を続けた1年だったと思う。どうか来年は、苛政なきよう民意がかなう年になることを期待し願い納めとしたい。

※注:山崎の「崎」は、「大」が「立」の下の横棒なし