<金口木舌>未来に何を残すのか


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 自動車は空を行き来し、若者は宙に浮くスケートボードを楽しむ。1989年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」で、主人公がタイムマシンで降り立ったのは2015年。そう、ことしだ

 ▼若き日に見た約30年後という設定の近未来は、ワクワクする先端技術にあふれていた。車の燃料は生ゴミを入れるだけ。犬の散歩はロボットの仕事。靴ひもは自動で結べる
 ▼残念ながら、宙に浮かぶスケボーなどはお目見えしていないが、片手で持てるコンピューターや指紋認証の扉は実現した。人類の英知は1年でどれだけ進むのか。正月休みに想像するのも楽しい
 ▼決断の年を経て、新しい年が巡ってきた。名護市長選から始まり、名護市議選、県知事選、衆院選と、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が争点となった選挙では、全て移設反対を訴える候補が勝利した。民意を示し、ウチナーンチュの誇りを掲げた年でもあった
 ▼ことしは決断の覚悟を問われるだろう。政府が「粛々と」と言い続ける海の工事を止めるのか。さまざまな圧力も予想される中、大人の責任がより一層問われる
 ▼映画は、今の行動が未来を決めるというシンプルなメッセージを伝えた。2015年。未来に何を残すのか。タイムマシンで降り立った子どもたちから「素晴らしい沖縄をありがとう」と言われる初夢を見たい。