<金口木舌>お墨付きは得られるか


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 バナナが全国的に品薄になったのは2008年秋のこと。バナナと水だけの朝食を食べ続けたタレントの減量成功を紹介したテレビ番組をきっかけに、爆発的に売れた

▼だが、単一食品だけを食べるダイエットは、専門家から「健康に良くない」との指摘が当時もあった。テレビで取り上げられたことで、バナナダイエットに「お墨付き」が与えられたと消費者が受け取り、振り回された出来事だった
▼4月からコンビニエンスストアやスーパーの弁当や総菜に、「健康な食事」の認証マークを表示できる制度が始まる。健康意識の高まりが期待される半面、課題もある
▼厚労省の有識者会議が決めた認証基準は主食、主菜、副菜それぞれと3種合わせたカロリーの上限や食塩量など。その基準を満たした弁当などに企業や店舗が認証マークを表示する。栄養を考えながら総菜などを選べる点がメリットだ
▼一方で消費者が不安視するのは、基準を満たしているかの確認が企業任せということだ。第三者のチェックは要らないため、偽装される可能性を完全には排除できない
▼産地を偽り、期限切れ食材を使った食品偽装に続き、年明け早々、異物混入が相次いで発覚した。消費者の企業に向ける目は厳しさを増している。「健康な食事」認証マークが消費者から「お墨付き」を得られるかは、企業の誠実さに懸かっている。